秘密性の高い大規模施設であるため、インターネット上や地域コミュニティではしばしば実態と異なる憶測が語られることがあります。ここでは、取材と公開事実に基づき、代表的な3つの誤解を是正します。
第1の誤解は、「単なるKDDIの携帯電話基地局や交換機が置かれているだけの施設ではないか」という見方です。実際には、KDDI自身の通信ネットワークを束ねるコアノードであると同時に、世界的なクラウド事業者(ハイパースケーラー)、メガバンクの決済システム、外資系金融機関のアルゴリズム取引サーバーなどが相乗りする「グローバルコロケーション拠点」です。国内外のトラフィックが直接交差するインターコネクション(相互接続)ポイントとしての性格を持ち合わせています。
第2の誤解は、「電磁波や騒音による周辺環境への影響」に対する懸念です。データセンター内部は冷却ファンや受電設備による機械音が存在するものの、強固な遮音外壁と地下化された受電ラインによって外部への騒音や電磁ノイズの漏洩は厳密に遮断されています。敷地境界での測定値は一般的な住宅街の基準を十分に下回っており、周辺の閑静な住環境と共存できるように高度な環境配慮設計が施されています。
第3の誤解は、「データセンターは一度作れば無人で完全に自動運転される」という神話です。ソフトウェアレベルの監視はAIや遠隔運用で自動化が進んでいるものの、光ファイバーの物理パッチ作業、高熱を発するモジュールの物理交換、非常用発電設備の月次試運転点検など、最後は高度な訓練を受けた人間の熟練技能によって信頼性が担保されています。要塞の強靭さは、最新技術と地道な人間系運用の両輪によって初めて成立しています。