彼女の言葉に宿る凄まじい説得力は、その波乱万丈すぎる半生を抜きにしては語れない。夫と幼い娘を置いて年下の男と駆け落ちし、子宮がんを克服し、情愛の赴くままにペンを握り続けた。昭和の文壇で「子宮作家」と激しいバッシングを受け、スキャンダルの渦中に置かれながらも、彼女は決して自身の欲望から逃げなかった。
51歳での剃髪・出家は、世間からの逃避でも、過去の清算でもなかった。己の身を焼き尽くすような愛憎劇の果てに辿り着いた、真の救済への渇望だったのだ。仏門に入った後も、彼女は聖人君子ぶることなく「私もまだ煩悩だらけ」と悪びれずに笑い続けた。清廉潔白を強要する世間の息苦しさに疲れた現代人にとって、その泥臭い誠実さこそが最大の救いとなっている。