調査兵団第四分隊(通称ハンジ班)に所属していたニファの最期は、作品全編を通じても屈指の凄惨さと唐突さを誇ります。舞台はトロスト区の市街地。エレンとヒストリアを乗せた馬車を護送する陽動作戦の最中、リヴァイとともに建物の屋根から監視任務に就いていたニファは、まさに日常的な偵察任務の延長線上にいました。しかし、その油断なき索敵の最中、リヴァイが不穏な空気を感じ取って警告を発した直後、背後から音もなく現れたケニー・アッカーマンの手によって放たれた対人立体機動装置の散弾銃が、ニファの顔面を至近距離から粉砕しました。
読者や視聴者を凍りつかせたのは、直前までリヴァイと極めて平然と言葉を交わしていた点にあります。リヴァイから「切り裂きケニーを知っているか」と問われ、「あの大都市伝説ですか?」「さすがにからかわないでくださいよ」と微笑み混じりに応じていた彼女の頭部が、次の瞬間には原型を留めぬほど吹き飛んで絶命したのです。叫び声を上げる暇すら与えられず、身体から噴煙を上げて力なく崩れ落ちる描写は、それまでの巨人戦で見られた「捕食される恐怖」とは根本的に異なる、「銃火器によって一瞬で生物としての機能を断ち切られる暴力の生々しさ」を突きつけました。
この惨劇が描かれたのは、原作漫画では第57話「切り裂きケニー」、テレビアニメ版ではSeason 3の幕開けとなる第38話「狼の煙」です。アニメ放映時、NHK総合という地上波のプライム帯で放映されたこともあり、Season 3第1話のクライマックスで繰り広げられたこの急襲劇は、リアルタイムの実況コミュニティを騒然とさせました。音響効果による重い発砲音と、スローモーションを一切排したドライな演出が、戦場の不可逆な現実を冷徹に際立たせています。