ネット上の情報の中には、「話題作りのためのタレント的なアピールではないか」「相撲に集中すべきではないか」といった冷ややかな憶測が一部に散見されます。しかし、現場の事実とスポーツ科学の視点から見れば、これは完全な誤解です。
第一に、玉鷲は入門初期の2000年代前半から人知れずこの趣味を続けており、メディアで注目されるずっと以前から部屋の力士や知人に作品を配り続けていました。売名や自己顕示欲とは無縁の、20年以上にわたる地道な積み重ねが存在します。
第二に、この手芸習慣こそが鉄人と呼ばれる連続出場記録を医学的・身体的に支えているという重要な盲点があります。超重量級の力士にとって、指先や手首の柔軟性・巧緻性(こうちせい)を保つことは、相手のまわしを掴む力や突きの威力をコントロールする上で決定的な意味を持ちます。針を繊細にコントロールする微細運動は、前腕のインナーマッスルを刺激し、手首周辺の腱を柔軟に保つ効果を生み出しているのです。
また、過度な夜遊びや激しい飲酒を好まず、静かに部屋で縫い物やお菓子作りに集中する生活様式は、内臓疲労を防ぎ、十分な睡眠と回復時間を確保する上で理想的なコンディショニングとなっています。