1994年に公開された映画『夜がまた来る』は、ハードボイルドとエロティシズムの巨匠・石井隆監督が描く究極の愛憎劇です。夏川結衣が演じたのは、暴力団の抗争に巻き込まれ、過酷な運命に翻弄されていく主人公・名美。モデル出身の清純派女優として注目されていた彼女が、映画初主演にして全編にわたる激しい濡れ場や過激なバイオレンス描写に真っ向から挑んだ姿勢は、当時の映画界に凄まじい衝撃を与えました。
作中で描かれる濡れ場は、甘美なロマンスとは対極にある、生きるための生々しい葛藤と激情の衝突です。根津甚八や竹中直人ら名優たちと繰り広げた濡れ場シーンにおいて、彼女は一切の妥協を排し、剥き出しの感情をスクリーンに叩きつけました。この魂を削るような体当たり演技が高く評価され、夏川結衣は第16回ヨコハマ映画祭で主演女優賞を受賞。体当たりという言葉だけでは片付けられない、表現者としての底知れない覚悟を世に知らしめました。