ネット上の掲示板やSNSで「頭おかしい」という極端な言葉とともに炎上を繰り返す背景には、生活者の切実な生存権と直結した複数の理由が存在します。批判の声を集約すると、主に次の5つの致命的な問題点に集約されます。
第一に挙げられるのが「地方切り捨て」という地域間不公平の極致です。東京都心部のように地下鉄やバス網が発達した地域では、車を所有しなくても快適に日常生活を送れます。一方で、地方部では最寄りのスーパーや病院まで往復数十キロ、通勤で毎日往復50km以上走るケースは日常茶飯事です。「車は贅沢品ではなく、生きるためのライフライン」である地域に対して、走った分だけ税金を課す仕組みは、地方在住者に対する事実上の懲罰的増税に他なりません。
第二は「二重課税・多重課税」の疑念です。日本の自動車関連税は、取得時の環境性能割、保有時の自動車税(種別割)および自動車重量税、給油時のガソリン税(揮発油税・地方揮発油税・石油石炭税)に加え、それら全体に消費税が上乗せされる「タックス・オン・タックス」の構造になっています。ここにさらに走行税が加われば、もはや五重課税の様相を呈します。
第三に、EV(電気自動車)普及政策との根本的な矛盾です。政府や各自治体は多額の補助金を出して「脱炭素のためにEVを買おう」と旗を振ってきました。ところが、いざEVの比率が高まり始めると「ガソリン税が取れなくなったから走行距離で課税する」と言い出す姿勢に、多くのユーザーが「梯子を外された」と深い不信感を募らせています。
第四に、プライバシーと監視社会への懸念です。走行距離を正確に把握するためには、車両への専用車載器(GPS端末やOBD-II通信機器)の装着が必須となります。国民が「いつ、どこからどこへ移動したか」という移動履歴データを国が一元管理することに対する心理的・法的な抵抗感は根強く存在します。
第五に、物流業界・サプライチェーンの破壊です。長距離を走る営業用トラックに走行税が重くのしかかれば、運送コストは跳ね上がり、巡り巡ってすべての食料品・日用品の価格に転嫁され、国民全体の生活費を圧迫します。