ビジネスパーソンにとって最も切実な関心事である「待遇格差」について、厚生労働省の各種賃金調査データや大手転職エージェントの公開求人票を精査したところ、両者の間には年間で100万円前後の開きが確認できます。
一般的な国内上場企業における課長代理年収相場はおよそ650万〜750万円(平均年齢30代後半〜40代前半)であるのに対し、係長平均年収はおよそ550万〜650万円(平均年齢30代中盤〜後半)が標準値です。月額の役職手当比較においても、係長が月2万〜4万円程度であるのに対し、課長代理は月4万〜8万円程度を設定する企業が多く見られます。
しかし、ここで見落としてはならないのが「残業代を含めた実質手取りの逆転現象」です。労働基準法第41条第2号に定める「管理監督者」の解釈を巡り、多くの企業で労務上のグレーゾーンが発生しています。
係長は法律上、疑いなく「非管理職(一般労働者)」に該当するため、時間外労働や休日労働に対する割増賃金が100%支給されます。一方で、課長代理に対して「代理とはいえ管理職の一角である」という拡大解釈を盾に、管理職残業代支給を打ち切る企業が後を絶ちません。その結果、繁忙期に月40時間の残業を行った場合、残業代が全額支給される係長の手取り月収が、定額の手当しか出ない課長代理の手取りを上回るという理不尽な逆転劇が現場で頻発しています。
行政解釈および過去の判例において、課長代理が真の管理監督者と認められるケースは極めて稀です。「経営方針の決定への参画」「自己の出退勤に対する自由度」「職務に見合った十分な待遇」の3要件を満たさない限り、会社側が課長代理の残業代をカットすることは違法と判断される可能性が高いのが実情です。