検索エンジンで店名を打ち込むと、候補として表示される「まずい」という不穏な単語。名店として揺るぎない地位を築いた今もなお、このサジェストが消えない背景には、爆発的な知名度ゆえの「期待値のねじれ」が存在します。
笠原氏が創業当初から掲げているコンセプトは、「万人に好かれなくていい、賛否両論あって当たり前。その代わり、手の届く価格で本物の日本料理を肩肘張らずに楽しんでほしい」という極めて潔いものです。客単価が数万円を超える銀座や赤坂の格式高い懐石料理をイメージして来店した一部の客層からすると、活気ある大衆割烹のような賑やかな空間や、親しみやすい食材を使った遊び心あふれる料理が「想像していた高級和食と違う」と受け取られ、それがネガティブな言説としてネット上に書き込まれた経緯があります。
さらに、著名人の経営店舗に対する反動的な批判や、あえて逆張りのキーワードでアクセスを集めようとするネット特有の構造も影響しています。しかし、賛否両論の評判・口コミを精査すると、そうした雑音を圧倒する支持の声で満ちています。大手グルメサイトでも常に高得点を維持しており、来店客からは「季節ごとのコース構成が見事」「出汁の引き方が秀逸で、奇をてらわないのに新しい」「最後のデザートを全種類選べるサービス精神に感動した」といった絶賛の声が後を絶ちません。噂の真相は、クオリティの低さではなく、圧倒的な人気と独自の営業スタイルが生んだ認知のギャップにあると断言できます。