1990年代末、アップフロントプロモーションおよびハロー!プロジェクトの中心で巻き起こった熱狂はすさまじかった。市井紗耶香は飾らないストレートな魅力で同世代のカリスマとなったが、人気絶頂の中で突如として芸能界の表舞台から身を引いた。当時の決断には様々な憶測が飛び交ったものの、彼女自身の視線はすでに「ひとりの女性としての自立」へと向いていた。
20代前半での最初の出産と育児は、決して甘いものではなかった。世間からの好奇の目、プライベートを追いかけるカメラの影、そして若さゆえの孤立感。煌びやかなステージから一転、深夜の授乳と夜泣きに追われる日々に「自分は何者なのか」と自問自答した夜は数え切れない。その生々しい記憶が、現在の地に足の着いた子育て論の原点となっている。