ファンや関係者の間で今も語り継がれる感動的なシーンがある。バンテリンドーム ナゴヤで行われたプロ野球公式戦の始球式。マウンドに立った山田裕貴が身にまとっていたのは、父・和利氏が中日時代につけていた背番号「30」のユニフォームだった。
投球前、超満員のスタンドを見渡した彼の目からあふれ出た涙。かつて父が汗を流し、自身が届かなかったプロのグランド。その中央に立った瞬間、父への感謝と、諦めた野球への思い、そして俳優としてここまで登りつめた自負が一気に押し寄せた。ノーバウンドで捕手のミットへ吸い込まれた一球は、父子をつなぐ最高のアートとなった。