奈良漬の命とも言えるのが粕床の調合です。スーパーで手に入る白い板粕をそのまま使っても、あの艶やかな琥珀色と深い甘みは生まれません。
奈良漬を美しい琥珀色に仕上げる秘訣は、「メイラード反応(糖とアミノ酸の加熱・熟成による褐色化)」を経た熟成酒粕(踏み込み粕)の使用にあります。白い板粕を常温で数ヶ月から半年寝かせ、茶褐色から黒褐色に熟成して味噌のようなペースト状になった酒粕を使うことで、特有の深みと香気、そして艶が生まれるのです。
家庭で黄金の味を再現するためのブレンド比率は以下の通りです。
【失敗しない粕床の黄金比(白瓜1kg分)】
・熟成酒粕(踏み込み粕):700g
・みりん粕(または本みりん):300g(みりんを使用する場合は150ml程度で粘度調整)
・ざらめ糖(または粗糖):150〜200g
・純米原酒(硬さ調整用):大さじ2〜3
みりん粕を3割ブレンドすることで、尖ったアルコール臭が和らぎ、まろやかな甘みと上品な照りが加わります。上白糖ではなくざらめ糖を用いるのは、糖がゆっくりと溶け出すことで浸透圧が急激に上がらず、瓜の組織を縮ませすぎずにじわじわと甘みを浸透させるためです。