前橋地方裁判所で開かれた公判において、最大の焦点となったのは「運転手個人だけでなく、ずさんな運行を放置し利益を貪っていた経営者個人の刑事責任を問えるか」という点でした。従来の交通事故裁判では、運転手個人が業務上過失致死傷罪に問われる一方、経営側は道路運送法違反などの行政法規違反(罰金刑中心)にとどまるケースが多かったためです。
しかし検察側は、陸援隊社長の針生裕之に対し、道路運送法違反(名義貸し等)のみならず、安全配慮を著しく怠ったとして業務上過失致死傷罪の共犯としての立件を断行しました。
裁判において、陸援隊の判決と刑事責任は以下のように確定しました。
- 運転手・河野化山:懲役9年6月、罰金200万円(求刑:懲役10年)
前橋地裁は、激しい眠気を催しながら漫然と運行を継続した過失は極めて重大であり、居眠り運転が招いた結果の凄惨さを厳しく糾弾。自動車運転過失致死傷罪および道路運送法違反で実刑判決を言い渡しました。 - 元社長・針生裕之:懲役3年6月、罰金160万円(求刑:懲役5年)
前橋地裁は、安全確保の最高責任者でありながら過密日程や名義貸し運行を主導・黙認し、運転手の過労状態を認識しながら乗務させた不作為を重く認定。経営トップの刑事責任を認める画期的な判断を下しました。
公判廷において、針生元社長は「運転手側の自己管理の問題」と主張し責任を逃れようとする場面も見受けられましたが、裁判所は「安全管理を放棄し、利益のために危険な運行を強いた構造的な元凶は会社と経営者にある」と断じ、バス事業者のトップに直接の実刑を下す強い姿勢を示しました。