プロレスの歴史上、これほどまでにシンプルかつ破壊的な必殺技が存在しただろうか。ウエスタン・ラリアット。ロープの反動を利用して突進し、太い左腕の腕根っこを相手の喉元や胸板へ叩きつけるこの技は、スタン・ハンセンの代名詞として世界中に知れ渡っている。
技のルーツは、彼が大学時代に打ち込んだアメリカンフットボールのブロッキング技術にある。激しいコンタクトスポーツで培った体重移動と瞬発力、そこに極度の近視ゆえに「標的を確実に仕留めるために全力を叩き込む」という切迫感が加わり、あの凄惨なまでの威力が完成した。自著『陽のあたる場所 ビバ!サンシャイン・ステート』(スタン・ハンセン自伝)でも明かされている通り、荒削りな力任せの技ではなく、徹底した反復とプロフェッショナルとしての覚悟が宿った結晶だった。