読者の多くが最も疑問を抱くポイントが「パス回数の上限」と「上限を超えた際のペナルティ」です。日本トランプ連盟や玩具メーカーの標準プレイルールブックにおいて、公式のパス回数制限は「1人につき3回まで」と明確に定められています。そして、手札に出せるカードがないにもかかわらず4回目のパスを余儀なくされた瞬間にそのプレイヤーは「脱落(リタイア・負け)」となります。
なぜ「3回」という極めて厳格な上限が設けられているのでしょうか。その理由は、ゲームの遅延防止という実用面だけでなく、ゲーム理論における「チキンレース構造」を成立させるための綿密なゲームデザインにあります。
仮にパス回数が無制限、あるいは5回以上と多すぎる設定にすると、プレイヤー全員が自分のカードを隠し持つ膠着状態が続き、ゲームスピードが著しく低下します。一方で、パスを1回や2回に狭めすぎると、配牌時の数字の偏り(端のカードばかりが集まる現象)によって、戦略の余地なく理不尽に脱落するプレイヤーが続出してしまいます。
「3回」という数値は、手札13枚のうち要所となる攻防で「2回は戦略的な足止め」に使い、「最後の1回は緊急回避」として残すというギリギリの駆け引きを生み出す絶妙な均衡点なのです。
脱落が決定したプレイヤーの手札は、即座にすべて没収され、本来配置されるべき盤面の正しい位置へすべて公開・配置されます。これにより、脱落者がせき止めていたルートが一気に開通し、盤面の膠着状態が雪崩を打つように崩壊します。自らの手札を出し切って上がる順位争いにおいて、この「強制開通」が他プレイヤーの勝敗を大きく狂わせるドラマを生み出す設計になっています。