インターネット上の健康情報や掲示板には、閃輝暗点に関する危険な誤認が散見される。自己判断による重大な見落としを防ぐため、代表的な3つの誤解を正しておく必要がある。
誤解1:「目薬をさせば光は治まる」という盲点
眼精疲労用や充血止めの市販点眼薬をいくら投与しても、閃輝暗点には一切効果がない。前述の通り、原因は眼球の角膜や網膜ではなく「頭蓋骨の中にある後頭葉の血流」にあるためだ。市販薬で様子を見ようとする行為は、適切な診断を先送りするだけに終わる。
誤解2:「毎回同じ見え方だから放置してよい」という油断
「昔から片頭痛持ちで閃輝暗点には慣れている」という人であっても、発作の頻度が「月1回から週数回へと急増した」「光の持続時間が1時間を超えるようになった」「光が消えた後も視野の欠損が一部残る」といった変化が生じた場合は要注意だ。典型的な片頭痛から器質的脳病変へ移行している兆候を見逃してはならない。
誤解3:「閃輝暗点の最中に片頭痛薬(トリプタン)を飲む」という危険行為
片頭痛持ちの患者が最も犯しやすい過ちがこれである。トリプタン製剤は「拡張した血管を収縮させる」作用を持つ。閃輝暗点が出ている最中は、すでに脳血管が「収縮」している状態にある。このタイミングでトリプタンを服用すると、血管収縮をさらに助長し、脳虚血を悪化させるリスクがある。トリプタン製剤は「閃輝暗点が完全に終わり、頭痛が始まってから」服用するのが絶対的な臨床ルールである。