復帰を果たしたものの、一度失われた視力は完全には戻らなかった。打席に立ってもボールの遠近感が掴めず、送球の目標すらぼやける。限界を悟った横田は、2019年に現役引退を決断する。そして迎えた鳴尾浜での引退試合。当時の2軍監督であり、彼を親のように見守り続けた矢野燿大は、横田を慣れ親しんだセンターの守備位置へと送り出した。
そこで起きたのが、プロ野球史に永遠に語り継がれる『奇跡のバックホーム』だ。浅いセンターフライを捕球した横田は、ぼやける視界の中で記憶だけを頼りにホームへ一投。レーザービームのようなノーバウンド送球がキャッチャーのミットに収まり、走者を刺した。バックグラウンドを知る誰もが目頭を熱くしたこのプレイは、指導者である矢野との深い信頼関係と、打球が来ることを祈り続けたベンチ全員の想いが引き寄せた奇跡だった。