多くのリスナーが最も強烈なインパクトを受けるのが、サビで繰り返される「ぴいぴいぴい ぴいぴいぴい」というフレーズです。一見するとユーモラスな言葉遊びのように受け取られがちですが、歌詞の全体像を丹念に読み解くと、そこには痛切なリアリズムが宿っています。
日本語のスラングにおいて「ピーピー」とは、財布の中身が底をついた「金欠状態」を指す言葉として古くから使われてきました。バブル経済の狂騒へと向かう1980年代後半の日本において、富や虚栄に群がる世相の裏側で、日銭を稼ぎながら懸命に生きる労働者や市井の人々の悲哀、そして世間から見放された弱者の「鳴き声(悲鳴)」を象徴しているのがこのフレーズです。
「ろくなもんじゃねえ」という吐き捨てるようなフレーズは、理不尽な社会や欺瞞に満ちた人間関係に向けられていると同時に、思い通りに生きられない自分自身への苛立ちと自己嫌悪を包み隠さず表しています。弱さを認めた上でなお拳を握りしめる主人公の姿勢こそが、いつの時代も生活者の共感を呼び覚ます最大の要因です。