では、利用者が支払う専用回収キットの代金(通常版3,300円・税込、ミニ版2,530円・税込など)は、一体どこへ消えているのでしょうか。運営会社が開示している収支構造および物流コストを専門的見地から分析すると、きわめて合理的かつ持続可能な設計が見えてきます。
料金の内訳を分解すると、まず第一に佐川急便による集荷・着払い配送料が占めています。通常版の専用回収袋は強化クラフト紙で作られた超大容量サイズ(幅約100cm×奥行40cm×高さ65cm)で、成人男性の重い冬物アウターから靴・バッグまで詰め込むと、総重量は25kgから最大30kg近くに達します。大手運送会社の通常宅配便運賃に照らし合わせると、このサイズと重量を個人の元払い伝票で送るだけで、地域によっては2,500円〜3,000円前後の送料が実費として発生します。つまり、キット代金の大部分は大型配送コストで相殺されているのが現実です。
第二に、国内の福祉作業所(障がい者就労支援施設)における雇用創出費です。送付される専用回収袋の折りたたみ、宛名ラベル貼り、リーフレット封入などの一連の作業は、全国の福祉作業所に委託されています。ボランティアによる無償奉仕に依存せず、適正な工賃を支払うことで障がい者の自立支援と就業機会を創出する原資に充てられています。
第三に、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)を通じた医療支援です。キットを1口購入するごとに、開発途上国の子どもたち5人分のポリオワクチン代金がJCVへ確実に拠出されます。単なる不用品廃棄ではなく、物流費・国内就労支援・国際医療支援の3つを束ねた総合パッケージとして設計されているため、有償でなければ事業そのものが成立しない構造になっています。