しらほしが読者から「反則級にかわいい」と評される最大の要因は、「圧倒的なスケールの巨躯」と「ピュアすぎる幼児性」の鮮烈なギャップにあります。巨大なピンク色のウェーブヘアにエメラルドグリーンの瞳、優美な羽衣をまとった姿はまさに神話に登場する人魚姫そのもの。しかし、その第一印象をあっさりと裏切るかのように、彼女は些細な物音や威圧的な言葉に怯え、大粒の涙をポロポロと流してしゃくり上げます。
一般的な物語における「巨大キャラクター」は、力強さや威圧感の象徴として描かれがちです。ところが尾田栄一郎氏はこの王道パターンを完全に脱構築し、「小動物のように守ってあげたくなる巨大美少女」という唯一無二のキャラクター造形を完成させました。読者の視界にはビル数階分に匹敵する大巨人が映っているにもかかわらず、脳が認識するのは「幼く愛らしい無垢な少女」そのもの。この認知的アンバランスこそが、抗いがたい庇護欲の源泉となっています。
さらに、彼女の愛らしさを語るうえで外せないのが、モンキー・D・ルフィとの独特な掛け合いです。国中の民や父であるネプチューン王、兄たちが彼女を腫れ物に触るかのように過保護に扱う中、ルフィだけは初対面から容赦なく「お前、デカイのに弱虫だな!」「おれ、お前嫌いだ」と言い放ち、挙句の果てに「弱虫」と呼び捨てにしました。
この遠慮のないルフィの態度に対し、しらほしは当初こそ泣き崩れていたものの、生まれて初めて「対等な一人の人間」としてぶつかってくれた彼に絶大な信頼を寄せるようになります。ルフィの無茶振りに翻弄されつつも、「ルフィ様」と慕い、少しずつ勇気を出して自分の殻を破っていく成長プロセスは、読者の親心を猛烈に刺激する要因となりました。