寒さのピークや冷え込みの質は、地域の大気条件や地形によって異なります。日本海側では雪を伴う季節風が吹き荒れる一方で、太平洋側の都市部では晴天時に著しい冷え込みが発生します。その鍵を握るのが放射冷却の仕組みです。
放射冷却とは、昼間に地表が蓄えた熱が、夜間に赤外線として宇宙空間へ逃げていく現象を指します。空に厚い雲があれば、雲が毛布のような役割を果たして地表の熱を反射・吸収するため急激な冷え込みは防がれます。しかし、冬型の気圧配置によって乾燥した「雲ひとつない快晴」となり、さらに「風が極めて弱い」夜は、遮るもののない宇宙へ熱が一直線に奪われます。その結果、早朝の日の出直前に地表面付近の空気が極限まで冷え込み、東京 一年で一番寒い日を生み出す要因となります。
以下は、気象庁の平年値データに基づき、日本の主要観測地点における寒さのピーク時期と最低気温の特性をまとめた比較表です。
データが明快に示す通り、本州の都市部では1月20日前後から月末にかけて寒さの底を迎えます。一方、四方を温かい海に囲まれた南西諸島では海水温の低下がさらに遅れるため、寒さの底が2月中旬へとシフトします。日本列島の細長い地理条件が、寒さのピークに多彩な表情を与えているのです。