都心に無数に存在する宿泊施設の中で、ホテル1899東京が際立った存在感を放ち続けている背景には、運営母体である株式会社龍名館の確固たる歴史と哲学があります。1899年(明治32年)の創業以来、日本のおもてなし文化を紡いできた同社が「現代における茶屋体験」を再定義した空間がこのホテルです。
館内に足を踏み入れた瞬間から、ほのかな茶葉の香りに包まれる演出は圧巻です。2階フロントロビーには専用のティーカウンターが設置されており、チェックイン時には「茶バリエ(Chavarier)」と呼ばれる日本茶のプロフェッショナルが、宿泊客の目の前で茶釜から柄杓で湯を汲み、最適な温度で淹れた日本茶や抹茶をウェルカムドリンクとして振る舞います。
一般的なシティホテルで行われる画一的なチェックイン業務とは一線を画し、一杯の茶を味わう時間そのものが日常の喧騒から心身を切り離すスイッチとして機能しています。木目を基調とした温かみのあるインテリアと障子や格子をモダンに昇華させたデザインは、都市にいながら静謐な茶室に身を置いているかのような没入感を提供してくれます。