ヘアスタイルを着物単体から切り離して考えてはならない。国家資格を持つ着付け技能士たちは、首筋から背中にかけての「線」を極めて緻密に計算して帯を締めている。
着物の着付けでは、首の後ろの衣紋をこぶし一つ分ほど抜くのが通例だ。アップスタイルはこの抜け感を強調するための伝統的な手法だが、ショートやボブでも十分にその美しさを引き出すことができる。襟足の生え際が着物の襟に直接触れないよう、毛先をアイロンで軽く首筋に沿わせるだけで、着崩れを防ぐ効果も生まれる。
髪のボリュームが足りないと、重厚な留袖を着た際に「着物に身体が負けている」ようなアンバランスさを生んでしまう。後頭部にすき毛を入れたり、根元を立ち上げるブローを施すことで、横から見たときの美しい菱形シルエットを保つことができる。着付師とヘアメイク担当が密に連携しているサロンを選ぶと、当日の仕上がりに格段の差が出る。