成人において腸内には常に約200ミリリットルのガスが存在しており、通常は呼気やゲップ、おならとして無意識に排出されています。しかし、何らかの要因でガスの「産生量」が「排出能力」を大幅に上回った際、腸管が風船のように引き伸ばされて知覚神経を刺激し、特有の下腹部痛や強い圧迫感が生じます。
お腹にガスが溜まる理由は、主に以下の3つのルートに集約されます。
第1に、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の乱れです。高脂質・高糖質の食事や悪玉菌の増殖により、未消化の食物残渣が異常発酵を起こし、水素やメタン、硫化水素などのガスが大量発生します。
第2に、呑気症(どんきしょう)による空気の誤飲です。早食いや炭酸飲料の過剰摂取だけでなく、PC作業時や緊張下での「歯の噛み締め(TCH:上下歯列接触癖)」が無意識の唾液嚥下を促し、大量の空気を胃腸へ送り込んでしまいます。
第3に、自律神経の乱れによる腸管運動の麻痺です。腸は「第2の脳」と呼ばれ、脳腸相関を通じて精神的負荷の影響をダイレクトに受けます。特に過敏性腸症候群(IBS)ガス型では、腸の知覚過敏と痙攣性の収縮が同時に発生し、ガスが少量であっても耐えがたい鈍痛や膨満感を引き起こします。