日本人の妻・かづ枝と出会い、東京で家庭を築いた顔恵民。だが、彼が娘たちに見せた姿はどこか影を帯びていた。寡黙で、時に激しく、そしてどこか触れてはならない孤独の匂いを漂わせる父。幼少期の一青妙や一青窈にとって、父の背中は愛おしくも謎に満ちた存在だった。
顔恵民は、娘たちがまだ幼い時期に癌により早逝する。遺された幼い姉妹には、父が台湾でどんな人生を歩んできたのか、なぜあれほどまでに哀愁を漂わせていたのか、その真実は長年隠されたままだった。しかし、母の死後に開けられた古い赤い木箱から見つかった手紙や写真、台湾料理のレシピが、バラバラだった家族の記憶を一本の温かな糸で繋ぎ直すことになる。