グラウンド上の絶対的な裁定者であるプロ野球審判ですが、その経済的基盤や雇用環境は一般的な会社員とは大きく異なります。日本野球機構(NPB)と審判員の間で結ばれるのは雇用契約ではなく、1年更新の業務委託契約です。毎年が契約解除のプレッシャーとの戦いであり、個人事業主としてのシビアな立場に置かれています。
現在、NPBにおけるプロ野球審判のなり方は、毎年冬に開催されるNPBアンパイアスクールを受講することが唯一の公式ルートとなっています。アマチュア野球の審判経験者や元プロ・独立リーグ選手、一般の野球経験者が一堂に会するこのスクールですが、プロ野球審判採用倍率は例年30倍から50倍以上という熾烈な競争率を誇ります。
受講生約60名前後の中から、最終関門である「NPB審判員適性検査」に合格し、まずは育成審判員として声がかかるのはわずか数名程度に過ぎません。合格率は極めて低く、技術や動体視力だけでなく、強靭なメンタリティ、声量、規則への理解度が厳しく試されます。
気になるプロ野球審判年収の構造は、階層ごとに明確な格差が設けられています。プロ入り直後の「育成審判員」は固定給(月給制・年収換算で約200万〜300万円程度)からスタートし、ファーム公式戦で実戦経験を積みます。正契約を結び「審判員」へと昇格すると、基本年俸は約500万円からスタートし、一軍のグラウンドに立てるようになると一軍審判出場手当(1試合あたり数万円)や役職手当が加算されていきます。
クルーチーフやシニアクルーチーフ、副審判長クラスに達するベテランになれば、年俸は2,000万〜2,500万円規模に達します。しかし、一軍に定着できず二軍暮らしが続けば、年俸は頭打ちとなり、契約更新の打ち切りという厳しい現実が待ち受けています。