2005年10月期に放送された『野ブタ。をプロデュース』において、堀北真希さんが演じた小谷信子は、過酷ないじめに遭い心を閉ざした転校生でした。当時の堀北さんは17歳になったばかりの現役高校生。すでに映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の撮影を終え頭角を現していましたが、民放のプライムタイム連続ドラマでヒロインを務めるプレッシャーは計り知れないものがありました。
信子というキャラクターは、ボソボソとした喋り方、前髪で顔を隠し猫背で歩く独特のシルエットなど、従来の学園ドラマにおける王道ヒロイン像を真っ向から覆す造形でした。当時の制作陣の証言によると、堀北さんは現場で私語を極力控え、休み時間も信子の孤独感や鬱屈した精神状態を保つストイックな役作りを徹底していたと伝えられています。
その徹底した没入が生み出したのが、今なお語り継がれる名セリフ「野ブタパワー、注入!」です。両手を胸の前で小さくクロスさせてパワーを送る愛らしい仕草は、修二(亀梨和也さん)と彰(山下智久さん)のプロデュースによって信子が少しずつ自己肯定感を獲得していくプロセスを象徴し、全国の中高生の間で社会現象レベルの流行を巻き起こしました。