ゆで卵への異様な執着のルーツをたどると、彼の過酷な原点に突き当たる。戦後の貧困期、徳島商業高校のエースとして第40回全国高校野球選手権で奪三振83という、日本野球機構(NPB)の歴史に今なお燦然と輝く大記録を打ち立てた板東。当時の彼にとって、卵は単なる嗜好品ではなく、飢えをしのぎ身体を極限まで鍛え上げるための貴重な最高級タンパク源だった。
中日ドラゴンズへ入団後、プロ野球の第一線で活躍する中でもその習慣は変わらなかった。後に名将として球界に名を馳せる星野仙一らと共に猛練習を重ねる過酷な日々において、手軽にエネルギーを補給できる卵は最強の相棒だったのだ。グラウンドから芸能界へと戦場を移した後も、勝負師としての孤独やプレッシャーを紛らわせるように、彼は卵を剥き続けた。