黒や赤のような鮮烈な異常色ではないものの、トイレで緑色や黄色の便を目撃して戸惑うケースも少なくありません。これらの色調変化には、生理的な要因と病的な要因の双方が混在しています。
便の色が緑色になる理由の多くは、腸の通過速度の異常です。胆汁に含まれるビリルビンは、腸内をゆっくり移動しながら酸化を受けて茶色へ変わりますが、食中毒や暴飲暴食による激しい下痢、過敏性腸症候群の発作などで便が腸内をハイスピードで通過すると、酸化前の緑色色素(ビリベルジン)がそのまま排出されてしまいます。また、スピルリナやクロレラ、青汁などの葉緑素を豊富に含む健康食品を大量摂取した際にも、無害な緑色便が見られます。
一方で、便の色が黄色と肝臓の関係も見逃せません。便が明るい黄色〜レモン色に近い色合いで、かつ水面に油が浮いたようにギトギトしている場合、これは「脂肪便」と呼ばれます。肝臓での胆汁酸生成不足や、膵臓から分泌される消化酵素(リパーゼ)の働きが低下すると、食事中の脂質を正常に乳化・吸収できず、便中にそのまま排泄されてしまいます。慢性膵炎やアルコール性肝機能障害、セリアック病などの小腸疾患が隠れているケースがあり、慢性化している場合は精密な血液検査が必要です。