長年親しまれた施設がなぜ閉館に至ったのか。その最大の理由は、建物の構造的寿命と莫大な改修コストの費用対効果にあります。
1960年代に竣工した同会館は、新耐震基準導入前の設計であり、大規模な耐震補強工事や空調・配管設備の全面刷新が必要とされていました。行政機関の内部報告書によると、銀座の一等地で全面的な改修工事を実施する場合、数百億円規模の公費投入が見込まれる一方で、得られる収益は公的料金設定のため極めて限定的でした。
さらに、産業振興の現場ニーズが「物理的な会議室の提供」から「DX支援、知的財産戦略、スタートアップ育成」へとシフトしたことも大きな要因です。東京都中小企業振興公社は、拠点の分散によるコスト非効率を解消するため、秋葉原にある中小企業振興公社本社ビル(神田佐久間町)や、城東・城南・多摩の各支社への機能集約を推進。政策的使命の変化が、銀座拠点の幕引きを後押ししたといえます。