結論から言えば、御誕生寺から猫の姿が消えたわけではありません。境内で暮らす猫の頭数は、最盛期の約60〜80匹規模から、現在は10〜15匹前後の適正規模へと計画的に移行しています。この変化を「衰退」や「放置」と受け取るのは明らかな誤解です。現場で進められてきたのは、猫たちの健康と生命の尊厳を最優先に据えた、極めて先進的な保護猫の譲渡活動(里親探し)でした。
寺の関係者や動物福祉関係の取材記録によると、かつて境内に溢れかえっていた猫たちの多くは、避妊去勢手術や感染症のワクチン接種、適切な健康診断を経た上で、厳密な面談をクリアした一般家庭の里親へと送り出されてきました。寺院が手掛けた累計の譲渡頭数はすでに数百頭に達しています。
現在境内に残っているのは、高齢に達した猫や持病を抱えて里親探しが難しい個体、そして寺の環境に深く馴染んでいる「専属の看板猫」たちです。無理な過密飼育を解消し、1頭1頭に十分な医療とケアを行き届かせる方針へシフトした結果が、現在の「穏やかで落ち着いた頭数」に結びついています。
さらに、かつて深刻だった「寺なら誰かが飼ってくれるだろう」という安易な不法遺棄に対して、防犯設備の導入や自治体・警察との連携を強化したことも、頭数が安定した大きな要因です。現在のお誕生寺の猫たちは、冷暖房を完備した専用ハウスや清潔な寝床を与えられ、獣医師の定期診察を受けながら、穏やかなシニア期を過ごしています。