スポーツ医学の専門家たちが最も恐れているのは、十分な水分復元が行われないままリングに上がるリスクだ。計量から試合までの24〜30時間でどれほど水分を摂取しても、細胞レベルでの完全な脱水症状が回復するには48時間以上を要すると言われている。
脱水状態のまま相手の強烈なカウンターパンチを被弾した場合、脳に加わる回転加速度は通常時の数倍に跳ね上がる。不意の一撃を受けた瞬間、クッションを失った脳は頭蓋骨の内側に激しく衝突する。これが一発KOだけでなく、後遺症や最悪の事故につながる最大の要因なのだ。安全面での科学的データの蓄積は、従来の「気合と根性」による減量法への強い警告となっている。