白河小峰城が城郭ファンのみならず、建築の専門家や文化財保存の現場からも別格の評価を受けている最大の理由は、近代の安易なコンクリート再建とは一線を画す「妥協なき木造復元」と「奇跡の石垣再生」にあります。
1991年(平成3年)に落成した白河小峰城三重櫓は、幕末に消失した城郭郭建築を当時の設計図(間取り図面等)や発掘調査成果に極めて忠実に従って復元したものです。昭和期に全国で乱立した外観のみの鉄筋コンクリート製模擬天守とは異なり、伝統的な木組み工法や無垢の木材を贅沢に用い、柱の継手一つに至るまで当時の大工技術を完全に再現しました。この挑戦は、のちに全国で広がる木造天守復元運動の先駆けとなりました。
さらに称賛を確固たるものにしたのが、2011年の東日本大震災からの復活劇です。震災当時、本丸を取り囲む石垣が10箇所近くにわたって大規模に崩落し、その光景は国内外に大きな衝撃を与えました。しかし、関係者や技術者たちは気が遠くなるような作業に着手します。崩れ落ちた約7,000個もの築石を一つひとつ回収し、被災前の写真や三次元レーザースキャナーのデータと照合しながら、元の位置へと戻す伝統的な「積み直し」を実行。7年超の歳月をかけ、2019年に完全修復を達成しました。文化財としての真正性をどこまでも守り抜いたこの執念が、日本中を唸らせる最大の原動力となっています。