ロキソニンを飲んでもまったく効かない痛みのなかで、最も警戒しなければならないのが、脳や血管に器質的な異常が生じている「二次性頭痛」です。これは一時的な不調ではなく、命に直結する、あるいは重い後遺症を残す恐れのあるロキソニンが効かない危険な頭痛です。
救命救急の現場において最優先で鑑別されるのが「くも膜下出血」です。脳動脈瘤が破裂することによって生じるこの病気は、「今まで経験したことがない、金属バットで殴られたような突然の激痛」として知られています。しかし、臨床取材で見えてくるのは、破裂の数日から数週間前に微小な出血(警告出血)を起こしているケースの存在です。このくも膜下出血の前兆となる頭痛は、「普段と痛む場所が違う」「急に後頭部がピキッと痛んだ」「市販薬を飲んでも鈍痛が持続する」といった形で現れることがあります。激痛ではないからとロキソニンを飲んで様子を見ている間に本格的な大出血に至るケースは極めて危険です。
以下に該当する症状(レッドフラッグサイン)が1つでもある場合は、市販薬で対処しようとせず、即座に救急車を呼ぶか緊急受診を行ってください。
- 突然の発症:何時何分何秒と特定できるほど、一瞬にしてピークに達した激しい頭痛
- 神経症状の合併:手足の脱力やしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見える、視野の一部が欠ける
- 全身症状の併発:首の後ろが硬くて曲がらない(項部硬直)、高熱、意識の朦朧、激しい嘔吐
- 発症のタイミング:50歳以上で初めて経験した頭痛、がんの既往がある人の頭痛、頭部外傷の後に始まった頭痛
- 痛みの増悪傾向:数日〜数週間かけて日増しに痛みの強度や頻度が高くなっている頭痛
20〜40代の若年・中年層で近年増加している「脳動脈解離(頭頸部動脈解離)」も、首の後ろから後頭部にかけて引き裂かれるような鋭い痛みが走り、ロキソニンが全く効きません。血管の内膜が裂けるこの病態は脳梗塞やくも膜下出血を引き起こす恐れがあり、初期の正しい画像診断が命を左右します。