風向きの変化を決定づけたのは、スクリーンやSNSの向こう側にいる表現者たちだ。かつてビンテージレザーの泥臭い茶色を大衆に定着させた木村拓哉が、近年Netflixのオリジナル作品や公式の場で披露する深みのあるビターブラウンのセットアップは、円熟味を帯びた男性像の新たなマスターピースとして熱烈な視線を集めている。骨太でありながら、どこか柔和。その佇まいは、従来の「男らしさ=漆黒」という固定観念を軽やかに解体してみせた。
一方で、アンニュイな空気感で同世代の支持を集める成田凌の存在も見逃せない。YouTubeのファッション対談や私服スナップで見せる、あえて色褪せたようなダークブラウンのウールトラウザーに古着を混ぜ込むアプローチは、若い層にとって「背伸びしないラグジュアリー」の最適解として映る。重厚なクラシックと脱力したストリート感。異なる文脈を生きるアイコンたちが期せずして同じ色相に共鳴したことで、メンズファッションの潮流は一気に地殻変動を起こした。