リハビリ職のコミュニティやSNS上で定期的に巻き起こる「認定理学療法士は取得しても無駄」という議論。この冷ややかな視線が生まれる最大の背景には、医療経済上の構造的要因が存在します。
看護師の「認定看護師」や一部の専門職と異なり、現行の診療報酬制度において認定理学療法士の配置に対する直接的な算定加算が設定されていません。患者1名に対して提供する疾患別リハビリテーション料の単位数は、施術者が一般の理学療法士であっても、数年の研鑽を積んだ認定理学療法士であっても同一です。病院やクリニックの経営視点から見れば、認定者が在籍していても診療報酬上の直接的な増収にはつながらない構造となっています。
この収益構造が、ダイレクトに認定理学療法士の給料や処遇へ影を落としています。民間リサーチや現場アンケートによると、認定理学療法士資格手当を導入している施設は全体の2〜3割程度にとどまり、支給されている場合でも月額3,000円〜10,000円程度が相場です。年間で数万円程度の手当では、取得にかかった講習会受講料、学会参加費、旅費交通費の回収に数年単位の歳月を要します。
「休日を削ってレポートを書き、数万円の研修費を払ったのに昇給はゼロだった」という現場セラピストの手記や告白が拡散することで、「コストパフォーマンスが見合わない=意味がない」という言説が定着していった経緯があります。