「大人が処方箋なしで作れるなら、子どものメガネも店頭測定だけで手軽に済ませたい」と考える親御さんは少なくありません。しかし、ここには医学的にも見過ごせない重大な盲点が存在します。
結論から申し上げると、小・中学生(特に小学生以下や初めてメガネを作る子ども)の場合、眼鏡市場でも原則として眼科処方箋の持参が強く推奨、あるいは必須対応とされています。これには、子どもの目の発達に関わる医学的理由があります。
子どもの目はピントを合わせる毛様体筋の調節力が極めて強く、緊張状態が続くと一時的に近視のような状態になる「調節痙攣(仮性近視)」を引き起こしやすくなります。この状態でメガネ店の機械測定を行うと、本来は軽い近視や遠視であるにもかかわらず、実際よりも強い近視度数が算出されてしまう「過矯正」の危険が非常に高くなります。過矯正のメガネをかけ続けると、慢性的な眼精疲労や頭痛、視力発達の阻害を招きかねません。
眼科では「調節麻痺薬(サイプレジンやアトロピンなど)」という目薬を点眼し、筋肉の緊張を完全に解いた状態で本来の屈折度数を測定します。これは医療機関でしか行えない医療行為です。さらに、9歳未満の小児が弱視や斜視の治療用メガネを作成する場合、眼科医の指示書・処方箋がなければ健康保険の療養費支給(自己負担分の払い戻しや助成制度)の申請が通りません。費用面・健康面の両面から、子どものメガネ作成に関しては「処方箋なし」を選択すべきではないのです。
一方で、大人の買い替えにおいて「愛着のある他社製フレームを使いたい」というケースでは、眼鏡市場のレンズ交換(持ち込み対応)が威力を発揮します。他社で購入したフレームであっても、フレームに著しい経年劣化や破損リスクがなければ、店頭での無料視力測定を経てレンズ代(11,880円〜)のみで新品レンズに入れ替えが可能です。ネット上では「他社フレームは門前払いされる」という噂もありますが、現場では丁寧なフレームチェックの上で柔軟に対応されています。