ネット上の情報や掲示板などで散見される「九九の歌はどれを聴いても同じ」「歌で覚えると算数の計算力が落ちる」という言説には、明らかな誤解が含まれています。
まず、「どの音源でも同じ」という点について。実際にはテンポが速すぎて舌が回らないものや、アレンジが複雑すぎて数字のリズムが聞き取れない楽曲が少なくありません。山野さと子さんの日本コロムビア盤は、教育的見地から子供が発音しやすい間(ま)が計算され尽くしている点が決定的に異なります。
また、「歌で覚えると計算の概念が育たない」という懸念ですが、脳科学的にも低学年における「九九の暗唱」は、理屈の理解と並行して進めるべき「言語的な基礎自動化」です。音のリズムで脳内に九九の引き出しを作っておくことで、後の筆算や割り算学習におけるワーキングメモリの消費を大幅に抑えることができます。