長らく暗闇に包まれていた歴史的真実を破り、国民的記憶として上書きしたのが映画の力だ。映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、ソウルの個人タクシー運転手とドイツ人記者の目を通して、光州民主化運動の生々しい現場を描き出した。戒厳軍の弾圧に抗い、傷ついた人々を助け合う光州市民の姿は、差別されてきた地域の人々が「暴徒」ではなく「民主主義の守護者」であったことを明確に証明してみせた。
一方で、映画『キングメーカー 大統領を作った男』は、まさに金大中をモデルとした政治家とその参謀が、どのようにして選挙戦を戦い、地域感情を利用した情報戦に巻き込まれていったかを冷徹に描き出す。勝つために地域分断を利用する裏裏の政治工作。これらの作品は単なるエンターテインメントを超え、韓国社会が抱えるタブーを白日のもとに晒す社会的装置として機能している。