放送から年月が流れてもなお、各種アンケートや音楽特番で「神曲」と称賛されるドラゴンボールGTの楽曲群。その背景には、90年代の日本の音楽産業を席巻していた制作会社「ビーイング(Being)」の存在と、当時のメディア環境が生み出した画期的なタイアップ構造があります。
「ドラゴンボールGT ビーイング 理由」を読み解く鍵は、フジテレビ水曜19時枠という黄金枠にありました。『ドラゴンボール』から『ドラゴンボールZ』へと続いた同枠は、平均視聴率20%超を連発する国民的番組でした。しかし『Z』終盤には原作のストックが尽き、新たな展開を模索する中で企画されたのが完全オリジナルストーリーである『GT』です。
制作を手掛けた東映アニメーションとフジテレビは、前作までのいわゆる「アニメ専用の児童向け劇伴歌」という枠組みから脱却し、ティーン層から大人まで幅広い視聴者を惹きつけるポップカルチャーへの転換を図りました。そこでパートナーシップを組んだのが、B'z、ZARD、大黒摩季、T-BOLANらを擁し、CDバブル期を牽引していたビーイングです。織田哲郎や栗林誠一郎といった天才的メロディメーカーが作曲を手掛け、坂井泉水が紡ぎ出す言葉の魔法を、気鋭のボーカリストたちが歌い上げるシステムは、タイアップ曲のクオリティを極限まで押し上げました。
作詞を担当した坂井泉水自身も、後に自身のアルバム『TODAY IS ANOTHER DAY』(1996年)で「DAN DAN 心魅かれてく」の坂井泉水 セルフカバーを発表しています。FIELD OF VIEWの爽快な少年性あふれるボーカルに対し、坂井のセルフカバーはどこか切なく大人の包容力を感じさせる仕上がりとなっており、楽曲のメロディがいかに強固であるかを証明しました。さらに自身名義で歌った「Don't you see!」は、アニメタイアップでありながら普遍的な恋愛感情の葛藤を描いた名曲として、累計60万枚に迫る大ヒットを記録しています。