今出川通は知る人ぞ知る「パンと珈琲の激戦区」だ。古くから学生たちの胃袋を支えてきた老舗ベーカリーでは、今日も焼きたてのコッペパンやハード系ブレッドが飛ぶように売れていく。トレーを片手に並ぶ年配の女性と留学生が、店員と親しげに言葉を交わす光景はどこか温かい。
ここ数年は、伝統的な町家をリノベーションしたマイクロロースタリーの出店が相次いでいる。店主たちの多くは、今出川の落ち着いた空気感に惹かれて移住してきた若き職人たちだ。浅煎りのスペシャルティコーヒーを片手に、ノートパソコンを開く研究者や、読書に没頭する地元住民。古い梁と最新のエスプレッソマシンが同居する空間には、今出川ならではの「新旧の調和」が美しく結実している。