インターネット上の住宅掲示板やSNSでは、軒天の補修に関して誤った情報や自己流の応急処置が散見されます。現場の施工指導員や建築士への取材から浮き彫りになった、特に危険な3つの誤解を是正します。
【誤解1:「軒天の黒いシミは、湿気によるものだから放っておけば乾く」】
これは極めて危険な思い込みです。軒天の中央や端部に生じる黒ずみや輪染み(雨ジミ)の正体は、屋根材のズレ、棟板金の浮き、あるいは2階ベランダの笠木(かさぎ)接合部から浸入した雨水が内部を伝って滴り落ちているケースが過半数を占めます。「雨が止んだら乾いているから大丈夫」と放置し続けた結果、小屋裏の垂木や梁(はり)が腐朽菌に侵され、数年後に屋根全体を数百万円かけて葺き替える事態に追い込まれる事例が後を絶ちません。
【誤解2:「虫が入ってくるからと有孔板の換気穴をテープやコーキングで塞ぐ」】
「有孔板の小さな穴からクモや蜂が入りそうだから」と、DIYで換気穴をアルミテープやシーリング材で完全に塞いでしまう住人が実在します。これは住宅の首を絞める自殺行為に等しい行為です。換気口を塞ぐと小屋裏の気流が完全に遮断され、夏場は屋根裏が60度以上の灼熱地獄となって断熱効果が激減し、冬場は強烈な内部結露によって柱や野地板を急速に腐らせます。防虫対策を行いたい場合は、穴を塞ぐのではなく、内側にステンレス製の防虫網を仕込んだ換気金物へ交換するのが正規の対処法です。
【誤解3:「ホームセンターのパテとペンキを買ってDIYで補修すれば安上がり」】
軒天のDIY作業は極めてリスクが高く、プロの現場でも厳格な安全基準が敷かれます。脚立の上で首を真上に向けた不安定な体勢での高所作業は、重大な転落事故を引き起こす主因となります。さらに、前述の通り不適切な塗料で通気性を遮断してしまったり、雨漏りの根本原因を突き止めずに表面だけパテ埋めして雨水を内部に滞留させるなど、結果的に建物の劣化を加速させて修繕費用を跳ね上がらせる結果に終わります。