野際陽子さんの死因は肺腺がん(肺がん)でした。病魔が発覚したのは2014年、78歳のときです。初期の外科手術を受け、一度は現場復帰を果たしたものの、2015年に再発。さらに抗がん剤治療や放射線治療を続けながら、彼女はその事実を近親者や一部のスタッフ以外には一切公表せず、毅然として仕事を続けました。
関係者の証言によると、病気の兆候を周囲に悟らせないよう、控室での休養や衣装の工夫を徹底し、カメラの前に立つと一切の衰えを感じさせない凛とした発声と立ち居振る舞いを維持したといいます。弱音を吐くことを極端に嫌い、「女優・野際陽子」としてのパブリックイメージを守り抜く姿勢は徹底していました。
その命の灯火を燃やし尽くすように取り組んだのが、脚本家・倉本聰氏が手がけた昼帯ドラマ『やすらぎの郷』でした。2017年5月、体調が急変し一時入院を余儀なくされながらも、点滴を受けながらスタジオに通い、撮影を完遂。そのわずか1ヶ月後の2017年6月13日、都内の病院で愛娘・真瀬樹里さんらに見守られながら息を引き取りました。享年81。まさに「生涯現役」を体現した壮絶な最期でした。