1年以上にわたる長丁場の現場において、上野樹里の周囲には常に強固なサポート体制と濃密な人間関係が存在していました。その中核にあったのが、「浅井三姉妹」を演じた宮沢りえ(長女・茶々役)、水川あさみ(次女・初役)との絆です。
撮影関係者の証言によると、大河ドラマ初出演にして座長を務める重圧から、初期の上野は極度の緊張状態にありました。その張り詰めた空気を優しく解きほぐしたのが、姉役の宮沢りえでした。宮沢はカメラが回っていない現場でも常に上野の様子に気を配り、演技の相談や役作りの息抜きを主導。水川あさみも持ち前の明るさでムードメーカーに徹し、3人は控室でも本当の姉妹のように寄り添い合っていたと報じられています。物語後半、豊臣と徳川に分断され、大坂の陣で敵味方として相対する茶々と江の凄絶な魂の交感は、この3人が築き上げた本物の信頼関係があったからこそ結実した名シーンでした。
また、江の夫・徳川秀忠を演じた向井理とのパートナーシップも大きな話題を呼びました。秀忠は偉大な父・家康(北大路欣也)の影に怯えながらも、平和主義を貫こうとする繊細な青年として描かれました。感情を素直にぶつける江と、皮肉屋でありながら深い愛情を秘めた秀忠の「凸凹夫婦」の関係性は、向井の端正な佇まいと上野の有機的な芝居が噛み合った珠玉のケミストリーでした。当時のインタビューで向井は、「上野さんの予測不能で真っ直ぐな芝居に引き出されたものが非常に多かった」と振り返っており、互いに刺激を与え合う対等な同志として全46回を駆け抜けました。