身近な小型生物に関しては、インターネット上やSNSのコミュニティでも誤った情報が散見されます。特に多い誤解が「毒の有無」と、家屋周辺に現れる「ヤモリやイモリとの混同」です。
まず結論から述べると、日本本土に自生するニホントカゲおよびニホンカナヘビには、いかなる毒も存在しません。世界中を見渡しても毒液器官を持つトカゲはアメリカドクトカゲやメキシコドクトカゲなどごく限られた種だけであり、日本の個体に咬まれたとしても毒液が注入される心配は皆無です。ただし、野生個体の口内には土壌由来の雑菌やサルモネラ菌が存在する可能性があるため、万が一咬まれて皮膚に傷がついた場合は、流水と石鹸で患部を徹底的に洗浄し、市販の消毒薬を塗布するのが衛生管理の基本となります。
また、住宅街で目撃される「トカゲっぽい生き物」には、ヤモリやイモリが混ざっているケースが多発しています。これらの判別法は生物群の根本から整理すると明快です。
ニホンヤモリはトカゲやカナヘビと同じ爬虫類ですが、決定的な違いは「夜行性」である点と「垂直な壁やガラスに吸着できる指下板(しかばん)」を持つ点です。足の裏にある数百万本の微細な毛によるファンデルワールス力を利用して滑らかな窓ガラスを駆け上がります。トカゲやカナヘビにはこの吸盤状の構造がなく鋭い爪しかないため、ツルツルしたガラス面を登ることはできません。
一方、名前に「守(モリ)」と付くもう一種の代表格アカハライモリは、爬虫類ではなくカエルと同じ両生類です。ウロコを持たず皮膚は常に湿っており、水田や小川などの水辺に暮らします。腹部が鮮やかな赤と黒の警戒色で彩られており、皮膚から「テトロドトキシン(フグ毒と同成分)」を分泌するため、触った手で目をこすったり口に入れたりすることは厳禁です。「昼間に庭石やブロック塀を走る=トカゲかカナヘビ」「夜の窓ガラスに張り付く=ヤモリ」「水辺にいて腹が赤い=イモリ」と覚えておけば、混同することは一切なくなります。