ネコとタチの語源の真相|江戸風俗と歌舞伎から現代Lgbt用語への変遷

ネコとタチの語源の真相|江戸風俗と歌舞伎から現代Lgbt用語への変遷

ネコとタチの語源の真相|江戸風俗と歌舞伎から現代Lgbt用語への変遷にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

同性愛コミュニティにおける「タチ(能動的・挿入側)」と「ネコ(受動的・被挿入側)」という呼称には、日本の芸能史と都市風俗が深く刻まれています。ネコタチ語源の真相を紐解くにあたり、双方が持つ歴史的ルーツを個別に検証していきます。

まず「タチ」の原型となったのは、歌舞伎の立ち役(立役=たちやく)です。歌舞伎の世界において、舞台上で立って演じる主役級の男役全般を「立役」と呼び、座って演奏する地方(じかた)や女形(おやま)と区別していました。ここから転じて、花柳界や裏社会の符丁として「男役」「男性的な振る舞いをする側」を「タチ」と呼ぶ慣習が生まれました。

一方で「ネコ」の語源には、歴史的に有力な3つの複合的ルートが存在します。

  • 江戸時代の「寝子(ねこ)」説:江戸の宿場町や街道沿いの旅籠(はたご)で、宿場女郎や非公認の私娼が「寝て客を取る子」という意味から「寝子芸者」「寝子」と呼ばれていた事実。
  • 三味線と芸妓の隠語説:芸者の商売道具である三味線に猫の皮が使われていたことから、芸者そのものを「ネコ」と呼ぶ花柳界の隠語が存在し、それが「女性役・受け身の役割」へ転用された。
  • 気まぐれな愛玩動物のイメージ説:抱かれる側のしなやかさや、警戒心と甘えを併せ持つ仕草を小動物の「猫」になぞらえた感覚的呼称。

言語学者や風俗史研究者の調査資料によると、これら複数の符丁が江戸から明治・大正期にかけて混ざり合い、昭和初期の地下コミュニティで「立役=タチ」の対義語として「ネコ」が定着していったプロセスが確認されています。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。