東京駅丸の内駅舎は、単なる鉄道ターミナルにとどまらず、宿泊と文化発信の機能を内包した生きた文化財です。
駅舎内に位置する東京ステーションホテルは、1915年(大正4年)に創業。川端康成や松本清張といった名だたる文豪が逗留し、数々の名作を執筆したことで知られます。特に松本清張は、客室から見えるプラットホームの光景から着想を得て名作ミステリー『点と線』のトリックを生み出しました。全150室の客室のうち、八角形ドームに沿って配置された「ドームサイド客室」からは、部屋の窓越しにドーム天井の八干支レリーフを目の高さで鑑賞できる唯一無二の体験が提供されています。
一方、丸の内北口に直結する東京ステーションギャラリーは、1988年に開館し、2012年の駅舎復原とともにリニューアルオープンした美術館です。展示室の壁面には、1914年創建当時の構造レンガがそのまま露出しており、大正時代の職人たちが積み上げたレンガの質感や目地の仕上げを間近で観察できます。鉄道・建築・現代アートを横断する質の高い企画展が常時開催されており、駅舎の構造体そのものを鑑賞する建築ツアーとしての価値も極めて高いスポットです。