『新機動戦記ガンダムW』の主題歌決定に至るプロセスには、当時のアニメソング制作の常識を覆す数々のドラマが存在した。ユニットであるTWO-MIXは、デビュー当初その姿をメディアに一切露出しない覆面ユニットに近いスタイルをとっていた。実力派声優としてすでに確固たるキャリアを築いていた高山みなみが、あえて自身の名前やタレント性を前面に出さず、純粋な音楽性だけで勝負を挑んだという事実は、当時の音楽業界関係者を大いに驚かせた。
楽曲の作詞・編曲を手掛けた永野椎菜によれば、制作当時は過密なスケジュールの中で極限の集中力が要求されたという。従来のロボットアニメといえば、作品タイトルや必殺技を連呼する王道のアニソンが主流だった。しかし『ガンダムW』が目指したのは、ミリタリーサスペンスと複雑な人間ドラマが絡み合うオルタナティブな世界観だ。キングレコードの担当ディレクターや制作陣は、従来の枠組みを大胆に壊し、最先端のクラブサウンドを取り入れる英断を下した。こうして生まれた「JUST COMMUNICATION」は、アニメ主題歌という概念そのものを根底からアップデートしたのである。