物語の原点は、1957年夏の長野県軽井沢町にある。緑豊かな高原のテニスコートで開催されたトーナメントで、のちの明仁上皇と運命的な対戦を果たされた。「軽井沢テニスコートの出会い」として語り継がれるこの出来事は、単なるロマンスにとどまらない意味を持っていた。
当時、正田美智子さんは大学を卒業したばかりの聡明な女性であった。テニスコートで見せた爽やかなプレイと礼儀正しい態度は、明仁上皇の心を強く捉えた。上皇后美智子としての歩みは、この一戦から始まったと言っても過言ではない。伝統と現代性が交錯する中で育まれた強い絆は、その後の皇室のあり方を大きく変える原動力となった。