編集部が独自に調査した医療現場の症例報告および当事者の手記からは、ムカデ被害がいかに突発的で、日常の平穏を一瞬で破壊するかが克明に浮かび上がります。
「寝室で就寝中、足の指先にアイロンを押し付けられたような衝撃で跳ね起きた。電気をつけるとシーツの上に15センチを超えるトビズムカデが這っていた。慌てて氷で冷やしたが激痛は治まらず、翌朝にはくるぶしが消えるほど足全体がパンパンに腫れ上がり歩行不能になった」(40代男性・住宅街在住の手記)
「洗濯物を取り込んで畳んでいた際、タオルの中に潜んでいたムカデに手の甲を咬まれた。熱湯シャワーの処置を知っていたためすぐに44℃のお湯で流したところ、20分後には痛みが激減。しかし翌日、過去に一度咬まれた経験があったせいか全身に強い蕁麻疹と悪寒が出現した」(30代女性・郊外在住の証言)
特に注視すべきは、過去にムカデやハチに刺された経験がある人物に潜むムカデ毒アナフィラキシーショック症状のリスクです。ハチ毒と同様、ムカデ毒に含まれるタンパク質抗原に対してもヒト免疫系はIgE抗体を産生します。2回目以降の受傷時、体質によっては受傷後わずか数分から30分以内に急性のアレルギー反応が全身を駆け巡ります。
- 皮膚・粘膜症状:全身の蕁麻疹、激しい痒み、唇・まぶた・喉の粘膜の腫れ。
- 呼吸器症状:喉の狭窄感、ヒューヒュー・ゼーゼーという喘鳴、呼吸困難。
- 循環器・消化器症状:血圧急降下に伴う冷や汗、顔面蒼白、激しい腹痛、嘔吐、意識混濁。
日本中毒情報センター等の臨床統計でも、全身症状を伴う重篤なアナフィラキシーは年間を通じて確実に報告されています。局所の腫れにとどまらず、息苦しさやめまいを覚えた場合は、一切の迷いを捨てて119番通報による救急搬送を選択しなければなりません。