食品パッケージに印刷された名称だけを見ていると混乱しますが、植物学的な分類を辿ると両者の出自は根底から分かれます。高級品として扱われる「青のり」の正体は、アオサ藻綱アオサ目アオサ科に属するスジアオノリ(学名:Ulva prolifera)やウスバアオノリです。これらは管状の細長い糸状体をしており、細かく粉砕しても繊維が潰れず、独特の気泡構造を維持する特徴を持っています。
対照的に、一般家庭で広く流通している「あおさ」の標準和名はヒトエグサ(学名:Monostroma nitidum)です。こちらはアオサ目ではなくヒビミドロ目ヒトエグサ科に属しており、海藻アオサ属とヒトエグサ科という科のレベルで明確に区別されます。ヒトエグサは細胞が1層しかなく、平たい葉状の形状をしており、水分を含むと極めて柔らかくトロリとした滑らかな舌触りを生み出します。
流通現場をさらに複雑にしているのが「アオサ粉」と呼ばれる業務用原料の存在です。食品表示基準において、ヒトエグサを粉末化したものだけでなく、アオサ属のアナアオサなどを粉砕したものが「アオサ粉」として流通しており、これが青のりの廉価版代替品として定着しました。店頭で「青のり」と大書されていても、一括表示の原材料欄を見ると「ヒトエグサ」や「アオサ」と記載されているケースが日常茶飯事となっています。